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津地方裁判所 昭和23年(行)3号 判決

原告

大阪市北區堂島濱通一丁目 文箭茂登

訴訟代理人弁護士

被告

松阪市地區農地委員会

代表者

会長 中村喜之助

主文

原告の訴を不適法として却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

請求の趣旨

原告所有の別紙第一、第二物件物件目録記載の土地に対し被告が曩になした自作農創設特別措置法による買收計画は之を取消す。訴訟費用は被告の負担とする。

請求原因省略

答弁省略

判決理由

職権を以て本訴の適否に付いて按ずるに本訴が行政廳である被告委員会が自作農地創設特別措置法によつてなした処分の取消を求める訴であることは原告の請求の趣旨によつて明らかであるが、昭和二十二年法律第二百四十一號(同年十二月二十六日施行)を以て改正された自作農創設特別措置法第四十七條の二によれば同法による行政廳の処分で違法なものの取消を求める訴は当事者が処分のあつたことを知つた日から一箇月以内に提起すべく定められ、同改正法附則第七條によれば、同改正法施行前になした自作農創設特別措置法による行政廳の処分で違法なものの取消を求める訴は同改正法施行前にその処分のあつたことを知つた者にあつては同改正法施行の日から一箇月以内に提起すべく定められている。而して右訴については同法は特別法の關係上優先的に適用あつて昭和二十二年法律第七十五號第八條を適用すべきでないことは前記同法第四十七條の二の明文によつても明らかである原告が被告委員会が本件の買收計画を定めたことを知つたのは別紙第一物件目録記載の土地については昭和二十二年九月二十一日であり同第二物件目録記載の土地については、昭和二十三年二月六日であつたことは原告自身の述べるところであるから、原告の出訴期間は前記の各規定により前者についての処分については昭和二十三年一月二十五日後者についての処分については同年三月五日を以て既に経過したものと言うべきであるが本訴が提起されたのは同年三月十九日であることは本件記録によつて明白である。而して原告に於て右出訴期間を遵守することができなかつた正当の事由があつたことについては何等之を認むべき資料がない、然らば本訴は法定の出訴期間経過後に提起されたものとして不適法として却下するのを相当と認め、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八十九條を適用して主文の通り判決する。

目録省略

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